虫歯治療といえば「削る」ことをイメージする方は多いのではないでしょうか。
しかし、近年は「初期段階の虫歯を削らずに治療する方法」が確立されつつあります。 ただし、削るかどうかの判断はあくまでも虫歯の進行度や歯の状態によって判断するものであり、必ずしも希望が通るとは限らない点に注意しましょう。
今回は削らずに治療できる虫歯の特徴や具体的な治療法について解説します。削るのが怖いという方でも、まずは歯科医師にご相談ください。
削らずに治療できる虫歯とは

結論からお伝えすると、歯の表面(エナメル質)が少し溶け始めた程度の「初期虫歯(CO)」であれば、歯を削らずに治療できる場合があります。
ただし、エナメル質の奥まで虫歯が進行(C1以上)している場合は、基本的に歯を削ることになるので注意しましょう。
エナメル質の表面は再石灰化で修復できますが、内側まで虫歯菌が入り込んでしまった部分は再石灰化で元に戻すことはできません。
特に象牙質(エナメル質の下)は柔らかく、細菌がどんどん広がっていくため場当たり的な治療では根治できないのです。
削らずに放置すると虫歯菌が神経(歯髄)に到達し、激しい痛み・根管治療が必要になる他、最悪の場合は抜歯せざるを得ないことも。
初期段階かどうかの判断は見た目だけではわからないため、歯科での診断が欠かせません。
削らない虫歯治療の方法
ここでは、削らない虫歯治療の方法を解説します。 「削らないならどうやって治療するの?」という疑問を解消していきましょう。
フッ素塗布
フッ素を歯に塗布することで再石灰化を促し、進行を抑える治療法です。
フッ素は虫歯予防に効果的な成分として広く知られており、歯の再石灰化を促進する作用を持っています。
初期虫歯の段階であれば、フッ素を定期的に歯に取り込むことで歯の表面を修復し、進行を抑えることが可能です。
歯科医院で行う高濃度のフッ素塗布であれば家庭用歯みがき粉よりも強力な予防効果が期待できることもポイントで、痛みのない治療法として注目されるようになりました。
また、日常のセルフケアでもフッ素入りの歯みがき粉や洗口液を使うことで効果を増大できます。
シーラント
シーラントとは、奥歯の噛む面にある細かい溝をフッ素配合の樹脂でコーティングする予防処置です。
磨き残しが多くなりやすい奥歯の溝を埋めるような処置であり、歯垢や食べかすが付着するのを予防することで虫歯の発生を防ぎます。
永久歯が生えたばかりのお子様に多く行われる処置ですが、大人でも可能です。 シンプルかつ痛みのない処置であり、治療だけでなく予防の手法としてもおすすめできます。
ブラッシング指導
虫歯は、歯磨きなどホームケアや食生活に大きく左右されます。
特に初期虫歯の場合、歯磨きの頻度や歯ブラシ・歯磨き粉・洗口剤などを見直して徹底的なセルフケアをすることで進行を防ぎ、歯を削らずに済む場合があります。
歯科医院では、染め出し液を使って磨き残しをチェックしたり歯ブラシやフロスの使い方を細かくアドバイスしてくれるため、自己流のケアでは届かない部分の改善が期待できます。
正しいブラッシングを習得することは、虫歯予防だけでなく歯周病対策にもなるのでぜひチャレンジしてみましょう。
まとめ
軽度の虫歯であれば必ずしも削る必要はなく、フッ素塗布や生活習慣の改善などにより進行を防ぐことが可能です。
ただし、削らずに済むかどうかの判断は専門的な診察が必要で、自己判断で放置するのは危険なので避けましょう。
「痛くない治療がいい」「なるべく削る面積を少なくしたい」など、ご要望があればお気軽に盛岡にある当院へご相談ください。 どんな治療法が最適か一緒に探り、納得度の高い治療・予防ができるよう対策していきましょう。