
鏡を見るたびに「歯の黄ばみ」が気になる、人前で思い切り笑うことに抵抗があるといったお悩みはありませんか?歯の色は、顔全体の印象を大きく左右する大切な要素です。白い歯は清潔感や若々しさ、そして自信の表れとも言えます。
この記事では、なぜ歯が黄ばんでしまうのか、その原因を深く掘り下げていきます。単に「コーヒーを飲むから」といった表面的な理由だけでなく、歯の構造や加齢による変化など、普段あまり意識することのない内側のメカニズムまで詳しく解説します。さらに、ご自宅で手軽に始められるセルフケアの方法から、歯科医院で受けられる専門的なクリーニングやホワイトニング治療まで、幅広い解決策をご紹介します。
歯の黄ばみに関する正しい知識を身につけ、ご自身の状況に合わせた最適なケアを見つけることで、きっと自信を持って輝ける白い歯を手に入れることができるでしょう。この記事が、口元の悩みを解決し、明るい笑顔を取り戻すための一助となれば幸いです。
歯が黄色く見えるメカニズム
歯の色が黄色く見えることには、多くの方が悩みを抱えています。しかし、その原因は単純な表面の汚れだけでなく、歯の内部構造に深く関係していることをご存じでしょうか。このセクションでは、歯がなぜ黄色く見えるのか、その基本的なメカニズムについて詳しく解説していきます。ご自身の歯の色について理解を深めることで、より効果的なケア方法を見つける手助けになれば幸いです。
歯の色の決まり方:エナメル質と象牙質の構造
私たちの歯は、透明感のある「エナメル質」と、その内側にある黄色みを帯びた「象牙質」という、主に二つの層から構成されています。これら二つの層が、歯の色を決定する上で重要な役割を担っています。
まず、歯の最も外側を覆っているのが「エナメル質」です。エナメル質は人体で最も硬い組織で、半透明の色をしています。この半透明の性質が、内部の象牙質の色を透けさせることで、歯の全体的な色合いを作り出しているのです。エナメル質が厚く、透明度が高いほど、内側の象牙質の色が透けにくくなり、歯はより白く見える傾向にあります。
一方、エナメル質の内側にあるのが「象牙質」です。象牙質は黄色みを帯びた色をしており、歯の色の中心的な要素となります。エナメル質が薄い方や、透明度の低い方は、象牙質の黄色みが強く反映されるため、歯全体が黄色く見えやすいと考えられます。このように、エナメル質の厚さや透明度、そして象牙質の色が組み合わさることで、一人ひとりの歯の色に個人差が生まれるのです。
日本人の歯はもともと黄色味がかっている?
「日本人の歯は欧米人に比べて黄色い」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。実際に、日本人の歯は欧米人と比較して、エナメル質が薄い傾向にあると言われています。このため、内側の黄色みを帯びた象牙質の色が透けやすく、全体的に黄色みがかった歯に見えることが多いのです。
歯科医院で歯の色を測る際に用いられる「シェードガイド」という色見本があります。これは歯の色の基準となるもので、多くの段階に分かれています。このシェードガイドで見た場合、日本人の平均的な歯の色は「A3.5」程度であるとされています。一方で、多くの人が理想とする白い歯のレベルは「A1」程度と言われています。ご自身の歯の色が平均的な範囲内にあることを知ることで、必要以上に悩まずに済むかもしれません。
生まれつきの歯の色には個人差があり、完全に真っ白な歯を持つ人は少数派です。ご自身の歯の色が、エナメル質と象牙質の構造による自然な色であることを理解することは、黄ばみへの向き合い方を考える上で大切な視点となります。
歯が黄ばむ主な原因とは?外因性と内因性の違い
歯の黄ばみの原因は多岐にわたりますが、大きく分けると、歯の外部からの影響による「外因性」と、歯の内部からの変化による「内因性」の二つがあります。外因性の黄ばみは、飲食物の色素やタバコのヤニなど、主に歯の表面に付着する汚れが原因で起こります。一方、内因性の黄ばみは、加齢による歯の構造の変化や、過去の治療、特定の薬剤の服用など、歯の内部で起こる変化が原因です。これらの原因を知ることで、ご自身の黄ばみのタイプを理解し、より適切なケア方法や対策を見つけることができます。この章では、それぞれの原因について詳しく解説していきます。
外から来る着色「外因性の原因」
私たちの日常生活には、歯の表面に付着して黄ばみを引き起こすさまざまな要因が潜んでいます。これらは「外因性」の着色と呼ばれ、主に飲食物に含まれる色素やタバコのヤニ、そして日々の歯磨きでは落としきれない歯垢や歯石の付着が挙げられます。これらの外的な要因がどのように歯の表面に影響を与え、黄ばみとなって現れるのかを、次の項目で具体的に見ていきましょう。
飲食物による着色(ステイン)
普段の食事や飲み物が、歯の黄ばみの大きな原因の一つとなります。特に、コーヒー、紅茶、赤ワイン、カレー、チョコレートなどに多く含まれる「ポリフェノール」という成分は、歯のエナメル質表面に存在する「ペリクル」と呼ばれるタンパク質の薄い膜と強く結合します。この結合により、色素が歯の表面に沈着し、「ステイン(着色汚れ)」として歯の黄ばみとして現れます。
また、糖分を多く含む食品や酸性の飲み物(柑橘系のジュースや炭酸飲料など)は、口の中のpH値を低下させ、歯のエナメル質からミネラル成分が溶け出す「脱灰(だっかい)」という現象を引き起こします。通常、唾液の働きによって溶け出したミネラル成分が歯に戻る「再石灰化」が行われますが、脱灰と再石灰化のバランスが崩れると、歯の表面にミクロな凹凸ができてしまいます。この凹凸は、さらにステインが付着しやすい状態を作り出し、結果として歯の黄ばみが目立つ原因となるのです。
タバコのヤニ
喫煙は、歯の黄ばみを引き起こす代表的な外因性の原因の一つです。タバコに含まれる「タール(ヤニ)」は、非常に粘着性が高く、歯の表面に強力に付着します。このタールは褐色をしているため、付着する量が増えれば増えるほど、歯が黄ばんだり、黒ずんだりして見えるようになります。
ヤニによる汚れは通常の歯磨きだけでは完全に除去することが難しく、蓄積することで見た目の印象を大きく損なってしまいます。さらに、タバコの成分は歯茎の血行を悪くし、歯周病のリスクを高めるなど、口腔全体の健康にも悪影響を及ぼすため、禁煙は歯の健康と美しさを保つ上で非常に重要です。
磨き残しによる歯垢(プラーク)や歯石
毎日の歯磨きで磨き残しがあると、それが歯の黄ばみに繋がることがあります。磨き残された食べかすは、細菌と結合して「歯垢(プラーク)」と呼ばれる白い塊を形成します。この歯垢自体が、元々やや黄色っぽい色をしているため、歯に付着していると歯全体が黄ばんで見えてしまう原因となります。
さらに、歯垢が長時間放置されると、唾液中のミネラルと結合して石灰化し、「歯石」という硬い物質に変化します。歯石の表面は非常にざらざらしているため、飲食物の色素やタバコのヤニなどの「ステイン」が、さらに付着しやすくなります。このように、歯垢や歯石の蓄積は、歯の黄ばみを悪化させるだけでなく、虫歯や歯周病のリスクも高めるため、日々の丁寧なオーラルケアが非常に大切です。
歯の内側からの変化「内因性の原因」
歯の黄ばみは、外的な要因だけでなく、歯の内部で起こる変化によっても引き起こされることがあります。これらは「内因性」の変色と呼ばれ、加齢による自然な変化、過去の歯科治療の影響、あるいは特定の薬剤の服用などが原因となるケースがあります。内因性の黄ばみは、歯の構造そのものの変化によるものであるため、セルフケアで改善することが難しい場合が多いです。次の項目で、これらの内因性の原因について詳しく見ていきましょう。
加齢によるエナメル質の菲薄化と象牙質の色調変化
年齢を重ねると、歯の黄ばみが気になるという方は少なくありません。これは、加齢に伴う歯の構造的な変化が主な原因として考えられます。一つ目の要因は、歯の内側にある「象牙質(ぞうげしつ)」の色調変化です。象牙質は元々黄色みを帯びていますが、加齢とともに新陳代謝が変化し、その色が徐々に濃くなる傾向があります。
二つ目の要因は、歯の表面を覆う「エナメル質(えなめるしつ)」の「菲薄化(ひはくか)」です。長年の食事や歯ぎしり、歯の酷使などによって、透明感のあるエナメル質が徐々にすり減り、薄くなっていくことがあります。エナメル質が薄くなると、色が濃くなった内側の象牙質がより透けて見えるようになります。この象牙質の色調変化とエナメル質の菲薄化が同時に進行することで、歯は年齢とともに黄ばんで見えるようになるのです。
過去の治療や薬剤の影響
歯の黄ばみや変色は、過去に受けた歯科治療や服用した薬剤が原因となることもあります。例えば、虫歯が深く進行し、歯の神経が死んでしまった歯(失活歯)は、時間の経過とともに内部から変色し、黒ずんだり灰色がかったりして見えることがあります。これは、歯髄(しずい)という神経や血管がある部分が機能しなくなることで、血液中の色素などが歯に沈着するためです。
また、歯の形成期である幼少期に、特定の抗生物質であるテトラサイクリン系の薬剤を服用した場合、歯に縞模様のような変色が見られることがあります。これは「テトラサイクリン歯」と呼ばれ、歯の内部に薬剤の成分が取り込まれることで起こる変色です。これらの内因性の変色は、表面的なホワイトニングでは効果が得られにくいケースが多く、専門的な歯科治療が必要になる可能性があります。
自宅でできる!歯の黄ばみを予防・ケアする方法
このセクションでは、歯の黄ばみに対する具体的な対策方法について解説します。まずは、日常生活の中で実践できる予防法やセルフケアに焦点を当ててご紹介します。正しい知識を身につけることで、黄ばみの進行を防ぎ、歯の白さを維持できるようになるでしょう。
正しい歯磨きの習慣を身につける
歯の黄ばみを防ぐためには、日々の歯磨きが非常に重要です。ただ磨くだけではなく、効果的な歯磨きの習慣を身につけることが大切になります。歯ブラシは鉛筆を持つように軽く握る「ペン持ち」がおすすめです。これにより、歯に過度な力が加わるのを防ぎ、エナメル質を傷つけるリスクを減らせます。力を入れすぎると、歯の表面が削れて黄ばみが目立ちやすくなったり、知覚過敏の原因になったりすることもあります。
歯磨きの際には、歯と歯茎の境目や奥歯の裏側、歯と歯の間など、磨き残しが多い部分を意識的に丁寧に磨きましょう。小さなヘッドの歯ブラシや、デンタルフロス、歯間ブラシなどを活用すると、より効果的に汚れを除去できます。歯垢や食べかすが残っていると、それがステインの付着を促したり、歯垢自体が黄色く見えたりするため、隅々まで磨き上げることが重要です。
また、食後、特にコーヒーや紅茶、カレーなどの着色しやすい飲食物を摂った後は、できるだけ早く歯を磨くか、それが難しい場合は水でうがいをする習慣をつけましょう。これにより、色素が歯の表面に定着するのを防ぐことができます。
ホワイトニング歯磨き粉の選び方と注意点
市販されているホワイトニング歯磨き粉は、手軽に試せるセルフケアとして人気がありますが、その効果や選び方には注意が必要です。多くのホワイトニング歯磨き粉は、歯を漂白するのではなく、歯の表面に付着したステイン(着色汚れ)を物理的または化学的に除去することで、歯本来の白さに近づけることを目的としています。製品によっては、ステイン除去成分が配合されており、歯の表面を滑らかにして再付着を防ぐ効果を謳っているものもあります。
ホワイトニング歯磨き粉を選ぶ際は、配合されている成分に注目しましょう。例えば、研磨剤が含まれている場合は、その粒子の細かさがポイントです。微細な研磨剤は、歯を傷つけずにステインを除去しやすいとされています。また、ポリリン酸ナトリウムやピロリン酸ナトリウムなど、ステインを歯の表面から浮かせて除去する効果が期待できる成分が配合されている製品もあります。これらは、化学的にステインを分解・除去する働きがあります。
使用上の注意点としては、研磨剤が強く配合された製品の使いすぎに気をつけることです。過度なブラッシングや研磨剤の強い歯磨き粉を日常的に使用すると、歯のエナメル質を摩耗させてしまい、かえって象牙質が透けて見えやすくなったり、知覚過敏を引き起こしたりする可能性があります。ご自身の歯の状態や目的に合わせて、適切な製品を選び、正しい方法で使用することが重要です。不安な場合は、歯科医師に相談してみるのも良いでしょう。
食生活の見直しと着色を防ぐ工夫
歯の黄ばみを予防するためには、日々の食生活を見直すことも非常に効果的です。コーヒー、紅茶、赤ワイン、カレー、醤油、ベリー系の果物、チョコレートなどは、ポリフェノールや強い色素を含むため、歯にステインが付着しやすい飲食物の代表例です。これらを摂取した後は、すぐに水で口をゆすぐ、あるいは歯磨きをする習慣をつけることで、色素が歯の表面に定着するのを防ぐことができます。
また、食事の際に食物繊維が豊富な野菜を積極的に摂ることも、着色予防に繋がります。例えば、セロリやレタス、リンゴなどは、噛むことで歯の表面を自然に清掃する効果が期待できます。これらの食品は唾液の分泌を促し、口の中を洗い流す効果も高めてくれます。
さらに、酸性の飲食物や糖分の多い食品の摂取量にも注意が必要です。酸性の飲食物は歯のエナメル質を一時的に柔らかくし、色素が浸透しやすくなります。糖分は虫歯の原因になるだけでなく、口内のpHを低下させ「脱灰」を引き起こすことで、歯の表面に凹凸ができ、ステインが付着しやすくなることがあります。これらの食品を摂りすぎないように心がけ、バランスの取れた食生活を送ることが、白い歯を保つための大切な工夫と言えるでしょう。
やってはいけないNGセルフケア
インターネットなどには、誤った情報に基づく危険なセルフケア方法が出回っていることがあります。特に、レモン汁や重曹などで歯を磨くといった行為は、絶対に行わないでください。これらの方法は、歯を白くするどころか、健康を著しく損なう危険性があります。
レモン汁に含まれる強い酸は、歯のエナメル質を溶かしてしまう「酸蝕症(さんしょくしょう)」を引き起こす可能性があります。エナメル質が溶けると、その下にある黄色い象牙質が露出し、かえって歯が黄ばんで見えたり、知覚過敏の原因になったりします。また、重曹のような粒子が粗いもので歯を磨くと、エナメル質を傷つけ、表面に目に見えないほどの小さな傷がつき、そこに色素が沈着しやすくなってしまいます。一度傷ついたエナメル質は元に戻らないため、自己判断での過度なセルフケアは避け、正しい知識に基づいてケアを行うようにしましょう。
歯科医院で受ける本格的なホワイトニング・クリーニング
これまでのセクションでは、ご自宅でできる歯の黄ばみ対策について解説してまいりましたが、セルフケアだけでは改善が難しい黄ばみもあります。そのような場合、歯科医院で受けられる専門的な処置が効果的です。歯科医院でのアプローチは大きく分けて、歯の表面の汚れを落とし、歯本来の色を取り戻す「クリーニング」と、歯そのものの色を内側から白くする「ホワイトニング」の二種類があります。それぞれの目的と得られる効果について、この後の項目で詳しく見ていきましょう。
歯本来の色を取り戻す「クリーニング(PMTC)」
歯科医院で行われる専門的な歯のクリーニングの一つに「PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)」があります。これは、歯科医師や歯科衛生士が専用の器具とフッ素入りのペーストを使い、毎日の歯磨きだけでは落としきれない歯石や、細菌の集合体であるバイオフィルム、そして飲食物による表面的な着色汚れ(ステイン)を徹底的に除去する処置です。
PMTCの目的は、歯を漂白することではなく、あくまで歯本来の自然な色と輝きを取り戻すことにあります。特に、コーヒーや紅茶などによる表面的な黄ばみが気になる方には非常に効果的です。定期的にPMTCを受けることで、清潔な口腔環境を維持できるだけでなく、むし歯や歯周病の予防にもつながります。
歯そのものを白くする「ホワイトニング」
「ホワイトニング」とは、クリーニングとは異なり、歯の内部に沈着した色素を分解することで、歯そのものの色を「本来の色以上に白くする」処置のことを指します。主に、過酸化水素や過酸化尿素といった薬剤を使用し、歯の表面を覆うエナメル質やその内側の象牙質に作用させることで、歯の明度を上げていきます。歯科医院で行う方法と、ご自宅で行う方法の大きく二種類がありますので、次の項目でそれぞれ詳しくご紹介します。
歯科医院で行う「オフィスホワイトニング」
オフィスホワイトニングは、歯科医院で歯科医師や歯科衛生士が行うホワイトニングです。高濃度のホワイトニング剤を歯の表面に塗布し、特殊な光を照射して薬剤の化学反応を促進させることで、短時間で歯を白くする方法です。通常、1回の施術でも効果を実感しやすく、すぐに白い歯を手に入れたい方に適しています。
この方法のメリットは、即効性が高く、専門家が施術を行うため安心感がある点です。一方で、デメリットとしては、費用が比較的高価になる傾向があることや、施術後に一時的に歯がしみやすくなる(知覚過敏)可能性がある点が挙げられます。効果の持続期間には個人差がありますが、定期的なメンテナンスや追加の施術で白さを維持できます。
自宅で行う「ホームホワイトニング」
ホームホワイトニングは、歯科医院で処方された専用の薬剤と、自分の歯型に合わせて作製されたマウスピース(カスタムトレー)を使って、ご自宅でご自身で行うホワイトニングです。低濃度のホワイトニングジェルをトレーに入れ、毎日数時間装着することを数週間続けることで、徐々に歯を白くしていきます。
この方法のメリットは、オフィスホワイトニングに比べて費用が安価であることや、ご自身のペースでゆっくりと白さを追求できる点です。また、薬剤が低濃度のため、知覚過敏のリスクも比較的低いとされています。しかし、効果を実感するまでに数週間程度の期間が必要となる点がデメリットです。
さらに、オフィスホワイトニングとホームホワイトニングを併用する「デュアルホワイトニング」という方法もあります。これは、それぞれのメリットを組み合わせることで、より早く、より高いホワイトニング効果と、その効果の持続性を目指すことができるため、非常に人気の高い方法となっています。
歯の色や形を整える「審美歯科治療」
ホワイトニングでは対応が難しい重度の歯の変色や、歯の形、歯並びの微調整も同時に行いたい場合には、「審美歯科治療」という選択肢があります。これは、歯の機能性だけでなく、見た目の美しさも追求する治療全般を指します。
具体的な方法としては、歯の表面を薄く削り、その上にセラミック製の薄い板を貼り付ける「ラミネートベニア」や、歯を全体的に覆う「セラミッククラウン」などがあります。これらの治療は、歯の色を根本的に変えられるだけでなく、歯の形を整えたり、軽度の歯並びの不ぞろいを改善したりすることも可能です。ただし、天然の歯を削る必要があるため、歯科医師と十分に相談し、ご自身の希望と歯の状態に合った方法を選ぶことが重要です。
白い歯を長持ちさせるためのポイント
これまで、歯の黄ばみの原因や、自宅でのセルフケア、歯科医院での専門的な治療法についてご紹介してきました。せっかく手に入れた白い歯は、できるだけ長く維持したいものです。このセクションでは、ホワイトニングなどの処置で得られた白い歯を長持ちさせるためのメンテナンスについて詳しく解説していきます。白さを維持するためには、日々の生活習慣を見直すことや、歯科医院での定期的なケアが非常に重要となります。次の項目から、具体的なポイントを見ていきましょう。
ホワイトニング後の食事の注意点
ホワイトニングの施術を受けた後は、歯が一時的に非常にデリケートな状態になります。これは、歯の表面を保護している「ペリクル」というタンパク質の膜が、ホワイトニング剤によって一時的に除去されるためです。ペリクルが再生するまでの間は、歯の表面がむき出しになり、普段よりも色素が歯の内部に浸透しやすくなっています。
そのため、施術後24時間から48時間程度は、色の濃い飲食物を避けることが非常に重要です。具体的には、コーヒー、紅茶、ウーロン茶、赤ワイン、カレー、醤油、味噌、チョコレート、ココア、着色料を使った清涼飲料水などが挙げられます。これらの食品に含まれる色素は、ペリクルがない状態の歯に直接付着し、再着色を引き起こしてしまう可能性があります。
この期間中に摂取しても良い食品としては、水、牛乳、ヨーグルト(無糖)、白米、パン(色の薄いもの)、鶏肉(皮なし)、魚(白身魚)、白い野菜(大根、キャベツなど)などがあります。これらの食品を積極的に摂り入れ、白い歯を長持ちさせるための最初のステップとして、食事に注意を払うようにしてください。
定期的な歯科検診とクリーニングの重要性
ホワイトニングで手に入れた白い歯を長く維持するためには、ご自宅での丁寧なケアだけでなく、歯科医院での定期的なメンテナンスが非常に重要です。数ヶ月に一度、例えば3ヶ月から6ヶ月ごとの歯科検診とプロによるクリーニング(PMTCなど)を受けることをおすすめします。これにより、ご自身では落としきれない歯の表面の汚れや歯石が除去され、再着色を防ぐことができます。また、PMTCは歯本来の自然な白さを保つ上でも効果的です。
定期的な歯科検診は、単に歯の白さを維持するだけでなく、虫歯や歯周病の早期発見・早期治療にも繋がります。お口全体の健康を維持することは、美しい歯を保つための基本でもあります。プロの目で定期的にチェックしてもらい、適切なケアを受けることで、白い歯と健康な口元を長期的に維持することができるでしょう。
まとめ:自分に合った方法で自信の持てる白い歯へ
これまで歯の黄ばみの原因から、ご自宅でできる予防法やセルフケア、そして歯科医院で受けられる専門的な治療法まで、様々な角度からご紹介してきました。
歯の黄ばみには、エナメル質と象牙質の構造による生まれつきの色味、加齢による自然な変化、コーヒーや紅茶といった飲食物の色素沈着、タバコのヤニ、さらには過去の治療や薬剤の影響など、非常に多くの原因があります。そのため、ご自身の歯がなぜ黄ばんでいるのかを理解することが、適切な対策を講じるための第一歩となります。
対策としては、毎日の丁寧な歯磨きや、ホワイトニング歯磨き粉を効果的に使うといったセルフケアが基本です。食後のうがいや、着色しやすい飲食物を避けるといった日々の工夫も、白い歯を維持するためには欠かせません。しかし、インターネットで紹介されているような、レモン汁や重曹を使った過度なセルフケアは、歯を傷つける恐れがあるため避けるようにしましょう。
より専門的なケアを求める場合は、歯科医院でのクリーニング(PMTC)で歯本来の色を取り戻したり、オフィスホワイトニングやホームホワイトニングで歯そのものを白くする方法があります。また、重度の変色や歯の形も改善したい場合には、ラミネートベニアやセラミッククラウンといった審美歯科治療も選択肢の一つとなります。
手に入れた白い歯を長持ちさせるためには、ホワイトニング後の食事に注意したり、定期的に歯科検診とプロによるクリーニングを受けることがとても大切です。ご自身の歯の状態やライフスタイル、そして「どのくらいの白さを目指したいか」という希望に合わせて、最適な方法を選びましょう。そのためにも、まずは歯科医師に相談し、ご自身に合った対策を見つけることが、自信の持てる美しい口元への一番の近道だと言えるでしょう。
少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
監修者
高橋 衛 | Takahashi mamoru
岩手医科大学歯学部卒業後、岩手医科大学歯学部口腔外科第二講座入局し、
医療法人 高橋衛歯科医院設立 理事長就任、MAMO IMPLANT CLINIC MALIOS 開設
【所属】
・日本歯科医師会
・岩手県歯科医師会
・盛岡市歯科医師会
・歯科医師臨床研修指導歯科医
・岩手県保険医協会
・日本口腔外科学会
・日本口腔インプラント学会
・EUROPEAN ASSOCIATION FOR OSSEOINTEGRATION
・AMERICAN ACADEMY PERIODONTOLOGY
・岩手医科大学歯学会
・デンタルコンセプト21 会員
・日本歯科東洋医学会
・JIADS Club 会員
・P.G.I Club 会員
・スピード矯正研究会 会員
・床矯正研究会 会員
・近代口腔科学研究会 会員
【略歴】
・岩手医科大学歯学部 卒業
・岩手医科大学歯学部口腔外科第二講座 入局
・「高橋衛歯科医院」 開業
・「MAMO IMPLANT CLINIC MALIOS」 開業
岩手県盛岡市の歯医者・歯科
『高橋衛歯科医院』
住所:岩手県盛岡市北天昌寺町7−10
TEL:019-645-6969

