インプラント治療に健康保険は使えない?原則適用外と例外を解説

インプラント治療に健康保険は使えない?原則適用外と例外を解説
盛岡市にある歯医者・歯科、高橋衛歯科医院です。

歯を失った際の治療法として注目されるインプラントですが、「健康保険が使えるのか」という疑問をお持ちの方は少なくありません。結論からお伝えすると、インプラント治療は原則として健康保険の適用外であり、ほとんどの場合で自由診療となります。しかし、ごく稀に国が定めた厳しい条件を満たした場合に限り、例外的に保険適用となるケースも存在します。

本記事では、インプラント治療と健康保険の関係性について、原則が自由診療である理由や、保険適用となるための具体的な条件を詳しく解説します。また、自由診療であっても高額な治療費の負担を軽減できる医療費控除などの制度についてもご紹介しますので、費用に関する不安を解消し、ご自身に最適な治療法を選択するための参考にしてください。

  1. 結論:インプラント治療は原則、健康保険の適用外(自由診療)
    1. なぜ?インプラント治療が保険適用外になる理由
    2. 「保険診療」と「自由診療」の基本的な違い
  2. インプラント治療で健康保険が適用される例外的な条件とは?
    1. 【条件1】患者様の症例が国が定める基準に該当する
      1. 先天的な理由で顎の骨が広範囲にない場合
      2. 後天的な理由(病気や事故)で顎の骨を広範囲に失った場合
    2. 【条件2】治療を受ける医療機関が国が定める施設基準を満たしている
  3. 保険適用されるインプラント治療の注意点
    1. 治療法や使用できる材料に制限がある
    2. 対応できる医療機関が非常に少ない
  4. 自由診療のインプラント治療費を抑える4つの方法
    1. 方法1:医療費控除を申請する
      1. 医療費控除の対象となる費用と計算方法
      2. 医療費控除の申請手続きと必要書類
    2. 方法2:民間の医療保険(生命保険)を確認する
    3. 方法3:デンタルローンや分割払いを利用する
    4. 方法4:高額療養費制度は使える?
  5. インプラント治療の費用相場と他の治療法との比較
    1. インプラント治療にかかる費用の内訳と相場
    2. インプラント・ブリッジ・入れ歯の費用と特徴
    3. 長期的な視点で考えるインプラントのコストパフォーマンス
  6. よくある質問|インプラントと保険適用について
    1. Q. 将来、インプラント治療が保険適用になる可能性はありますか?
    2. Q. 歯科医院によってインプラントの費用が違うのはなぜですか?
    3. Q. 格安インプラントは安全ですか?
  7. まとめ:インプラント治療は専門家と相談し自分に合った方法を選ぼう
    1. 監修者

結論:インプラント治療は原則、健康保険の適用外(自由診療)

インプラント治療を検討されている方がまず疑問に思うのが「健康保険は使えるのか」という点ではないでしょうか。結論から申し上げますと、一般的なインプラント治療は原則として健康保険の適用対象外であり、全額自己負担となる「自由診療」に分類されます。

日本の公的医療保険制度における「保険診療」とは、国が定めた診療報酬点数に基づいて治療内容や費用が全国一律で決められており、患者様は医療費の1割から3割を負担します。一方で、「自由診療」とは、この保険の制約を受けない診療形態を指します。医療機関が治療内容や使用する材料、費用を独自に設定できるため、患者様は治療費の全額を自己負担することになります。

虫歯や歯周病によって歯を失った場合、その補綴治療としてインプラントを選択されるケースがほとんどですが、これらは機能回復に加えて審美性や快適性も追求する治療と見なされるため、基本的には自由診療として扱われるのです。

なぜ?インプラント治療が保険適用外になる理由

インプラント治療が原則として保険適用外となる背景には、日本の公的医療保険制度の基本的な考え方があります。日本の健康保険は「国民皆保険」の理念に基づき、すべての国民が経済的な負担を心配することなく、最低限の医療を受けられるように設計されています。そのため、保険診療で提供される治療は、主に生命維持や病気・怪我からの「機能回復」に主眼が置かれています。

失った歯を補う治療法として、保険診療では「ブリッジ」や「入れ歯(義歯)」が標準的な選択肢として用意されています。これらの治療法は、食事をする、発音するといった基本的な機能の回復を目的としており、保険制度の範囲内で十分に機能すると考えられています。一方でインプラント治療は、単なる機能回復に留まらず、天然歯に近い噛み心地や見た目の美しさ、周囲の歯への影響が少ないといった、より質の高い生活(QOL)の向上を目指す側面が強い治療です。

このような「より質の高い治療」や「審美性を追求する治療」は、国の医療保険制度においては「贅沢な治療」と見なされ、保険適用の範囲を超えると判断されます。誰もが等しく受けられる最低限の医療という保険制度の枠組みから外れるため、費用は全額自己負担となる自由診療として提供されているのです。

「保険診療」と「自由診療」の基本的な違い

インプラント治療における費用を理解するためには、「保険診療」と「自由診療」の違いを正確に把握することが不可欠です。両者には、費用負担、治療の選択肢、治療目的、受けられる医療機関など、多くの点で明確な違いがあります。

インプラント治療が自由診療に分類されることで、患者様はハイテクなインプラントシステムや、セラミックなどの審美性に優れた上部構造を選択できるメリットがあります。これにより、天然歯と見分けがつかないほどの自然な仕上がりや、非常に良好な噛み心地を実現することが可能です。しかしその反面、費用は全額自己負担となり高額になるというデメリットも生じます。この違いを理解することが、ご自身にとって最適な治療選択をする上での重要な一歩となります。

インプラント治療で健康保険が適用される例外的な条件とは?

インプラント治療は原則として自由診療ですが、ごく稀に健康保険が適用される例外的なケースも存在します。しかし、保険適用を受けるためには、患者様の症状と治療を受ける医療機関の両方が、国が定めた非常に厳しい基準をクリアしなければなりません。安易に「保険でインプラントが受けられる」と期待するのではなく、まずはご自身の状況がこれらの限定的な条件に該当するかどうかを確認することが重要です。ここからは、インプラント治療が保険適用となる具体的な条件について詳しく解説していきます。

【条件1】患者様の症例が国が定める基準に該当する

インプラント治療の保険適用が認められる患者様の条件は、一般的な虫歯や歯周病によって歯を失ったケースではありません。生まれつきの疾患や、後天的な事故・病気などによって「顎の骨が広範囲に失われた」といった特殊な症例に限定されます。つまり、単に歯がないだけでなく、顎の骨の構造自体に深刻な問題がある場合のみ、保険適用の対象となりうるのです。ここでは、具体的な症例を「先天的な理由」と「後天的な理由」に分けて詳しくご説明します。

先天的な理由で顎の骨が広範囲にない場合

先天的な理由でインプラント治療が保険適用となるのは、生まれつき顎の骨に広範囲な欠損がある場合に限られます。具体的には、遺伝性エナメル質形成不全症、外胚葉異形成症、唇顎口蓋裂(しんがくこうがいれつ)などの疾患が挙げられます。これらの疾患により、顎の骨が著しく欠損していたり、多くの歯が正常に萌出しない状態であったりすることが条件です。単に歯が一本ないという状況とは異なり、ブリッジや入れ歯といった通常の補綴治療では対応が極めて困難であるほど、顎の骨格に根本的な問題がある場合のみが対象となるため、非常に限定的な条件と言えます。

後天的な理由(病気や事故)で顎の骨を広範囲に失った場合

後天的な理由でインプラント治療が保険適用となるケースは、病気や事故により顎の骨を広範囲に失った場合に限定されます。主な対象となるのは、悪性腫瘍(がんなど)の切除手術によって顎の骨が広範囲に失われた場合や、交通事故などの外傷によって顎骨が大きく欠損した場合です。国の定める具体的な基準としては、「連続して顎骨の1/3以上が欠損している状態」や、「骨移植によって顎骨が再建された場合」などが挙げられます。

加齢による歯の喪失や、歯周病の進行によって歯が抜け落ちたといった一般的なケースは、この条件には一切当てはまりません。あくまでも、通常の生活を送る上で著しい機能障害がある特殊な状況下においてのみ、保険適用が検討されることをご理解ください。

【条件2】治療を受ける医療機関が国が定める施設基準を満たしている

患者様の症例が上記の条件を満たしていても、実際に治療を受ける医療機関が国の定める厳しい施設基準をクリアしていなければ、インプラント治療に保険は適用されません。これは、インプラント治療が外科手術を伴う高度な治療であり、万全な体制が求められるためです。具体的には、以下のような施設基準が設けられています。

20床以上の入院用ベッドがある病院であること

歯科だけでなく、麻酔科など関連する診療科が設置されていること

当直体制が整備されていること

5年以上のインプラント治療経験を持つ常勤歯科医師が2名以上在籍していること

これらの基準を満たす医療機関は、主に大学病院やごく一部の総合病院に限られます。一般的な歯科クリニックでは、これらの要件を満たすことが難しいため、保険適用のインプラント治療を受けられる場所は全国的にも非常に限られているのが実情です。

保険適用されるインプラント治療の注意点

インプラント治療は、失った歯の機能を回復させる優れた選択肢ですが、原則として健康保険が適用されません。しかし、非常に稀なケースでは保険が適用される例外条件があります。仮に保険適用で治療が受けられたとしても、それが必ずしも最善の選択とは限らないという現実も知っておく必要があります。

保険適用には、メリットだけでなく、いくつかの制約やデメリットが伴います。具体的には、治療法や使用できる材料が限定されること、そして治療を受けられる医療機関が極めて少ないことなどが挙げられます。これらの注意点を理解し、保険適用治療の現実的な側面を把握することが重要です。

治療法や使用できる材料に制限がある

保険適用でのインプラント治療には、使用できる治療法や材料に厳しい制約があります。自由診療の場合、患者様はインプラントメーカーや上部構造(被せ物)の材質を、ご自身の希望や予算に合わせて自由に選ぶことができます。しかし、保険診療では、国が定めたルールに則った特定の材料や治療法しか選択できません。

例えば、上部構造に関して言えば、自由診療であれば見た目の美しさに優れたセラミックやジルコニアといった材料を選ぶことが可能ですが、保険適用では主に金属製のものが選択されることが多くなります。これは、保険診療が「機能回復」を主目的としているため、審美性やハイテク技術を追求することはできない、という考え方に基づいているからです。そのため、自由診療と比べると、治療の選択肢が大幅に狭まり、見た目の仕上がりや快適性において差が生じる可能性があります。

対応できる医療機関が非常に少ない

インプラント治療が保険適用されるためには、患者様の症例が国が定める基準に該当するだけでなく、治療を受ける医療機関も特定の施設基準を満たしている必要があります。この施設基準が非常に厳しいため、保険適用でのインプラント治療を実施できる医療機関は全国的に見ても極めて限られています。

具体的には、大学病院やごく一部の総合病院など、高度な医療設備と専門医が常駐しているような基幹病院に限られます。一般の歯科クリニックでは、これらの厳しい基準を満たすことはほとんど不可能です。そのため、仮に患者様ご自身が保険適用の条件を満たしていたとしても、お住まいの地域に該当する医療機関がなかったり、あったとしても予約が数ヶ月待ちになったりするケースも少なくありません。希望すればすぐに治療を受けられるわけではなく、地理的なアクセスや待ち時間の面で大きなハードルがあることを理解しておく必要があります。

自由診療のインプラント治療費を抑える4つの方法

インプラント治療は高額な費用がかかるため、治療を検討されている方にとっては大きなご負担に感じられるかもしれません。しかし、インプラント治療は原則として自由診療ですが、費用負担を軽減するための公的な制度や支払い方法がいくつか存在します。決して安易に諦める必要はありません。このセクションでは、インプラント治療の経済的な負担を減らすために活用できる「医療費控除」「民間の医療保険」「デンタルローン」、そして誤解されやすい「高額療養費制度」の適用可否について、具体的な方法を分かりやすく解説していきます。これらの情報を知ることで、費用に関する不安を解消し、ご自身に合った治療の選択肢を見つける一助となれば幸いです。

方法1:医療費控除を申請する

インプラント治療の費用負担を軽減する最も代表的な方法の一つに「医療費控除」があります。医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合に、その超過分に応じて所得税や住民税が軽減される制度です。特に重要な点として、インプラント治療のように健康保険が適用されない自由診療であっても、医療費控除の対象となることが国税庁によって認められています。この制度を上手に活用することで、実質的な治療費の負担を軽減し、金銭的な不安を和らげながら治療に専念できるでしょう。ここからは、医療費控除の具体的な対象範囲や計算方法、そして申請手続きについて詳しく見ていきます。

医療費控除の対象となる費用と計算方法

医療費控除の対象となるのは、インプラント手術費用や検査費用、診断料だけではありません。治療のために歯科医院に通院する際に利用した、電車やバスなどの公共交通機関の交通費も対象となります。自家用車でのガソリン代や駐車場代は対象外となるため注意が必要です。

医療費控除額の計算式は、原則として「(実際に支払った医療費の総額 − 保険金などで補填された金額) − 10万円」となります。ただし、その年の総所得金額等が200万円未満の人は、「総所得金額等の5%」が10万円の代わりに控除額計算に用いられます。

たとえば、年収500万円の方がインプラント治療に40万円を支払ったケースで考えてみましょう。保険金による補填がなかった場合、医療費控除の対象となる金額は40万円 − 10万円 = 30万円です。この30万円が所得から控除され、所得税の税率(例えば20%)に応じた額が還付金として戻ってきます。この場合、約6万円の還付が期待できる計算になります。

医療費控除の申請手続きと必要書類

医療費控除を申請するには、会社員の方であってもご自身で「確定申告」を行う必要があります。確定申告の期間は、原則として治療を受けた年の翌年2月16日から3月15日です。

申請には、主に以下の書類が必要になります。

医療費控除の明細書

源泉徴収票(会社員の場合)

確定申告書

特に重要なのが、歯科医院から発行された領収書です。この領収書に基づいて「医療費控除の明細書」を作成するため、全ての領収書を大切に保管してください。税務署から提示を求められる場合もあるため、領収書は5年間保管する義務があります。国税庁のウェブサイトには、医療費控除に関する詳細な情報や、確定申告書の作成ツールが用意されていますので、活用すると良いでしょう。

方法2:民間の医療保険(生命保険)を確認する

公的な健康保険とは別に、個人で加入している民間の医療保険や生命保険から、インプラント治療の給付金が受け取れる可能性があります。これは、あくまでご自身が任意で加入している保険契約に基づくものであり、国の健康保険制度とは全く別のものです。

ご加入の保険契約に「手術給付金」の特約が付帯している場合、インプラント手術がその給付対象に含まれるかを確認することをおすすめします。給付の可否や給付額(例えば、「入院を伴わない日帰り手術で5万円」など)は、契約内容や保険会社によって大きく異なります。必ず保険証券を確認するか、直接保険会社に問い合わせてみましょう。歯科医師による診断書や証明書が必要となるケースも多いため、事前に確認し、必要な書類を準備するようにしてください。

方法3:デンタルローンや分割払いを利用する

インプラント治療は高額なため、一度に全額を支払うのが難しい場合も多いでしょう。そのような時に役立つのが、デンタルローンや歯科医院が提供する分割払いサービスです。

デンタルローンとは、歯科治療費の支払いを目的とした金融機関のローン商品で、一般的なカードローンと比較して金利が低く設定されていることが多いのが特徴です。また、多くの歯科医院では、患者さんの費用負担を軽減するために、信販会社と提携した独自の分割払いプランを用意していることがあります。これらの方法を利用することで、高額な治療費を月々の負担が少ない金額に平準化して支払うことが可能になり、経済的なゆとりを持って治療に臨むことができます。

ただし、デンタルローンや分割払いには金利手数料が発生します。そのため、利用する際は、総支払額がいくらになるのか、無理のない返済計画が立てられるのかを十分に検討し、計画的に利用することが重要です。

方法4:高額療養費制度は使える?

インプラント治療を検討されている方の中には、「高額療養費制度」の利用を考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、結論から申し上げますと、自由診療である一般的なインプラント治療には、高額療養費制度は適用されません。この制度は、あくまで健康保険が適用される「保険診療」において、医療費の自己負担額が月の初めから終わりまでで一定の上限額を超えた場合に、その超過分が払い戻される仕組みだからです。インプラント治療は原則として全額自己負担となる自由診療であるため、制度の対象外となります。医療費控除とは異なり、高額療養費制度は保険診療に限定された制度であることをご理解ください。

ただし、ごく稀なケースとして、国が定める条件を満たしてインプラント治療が保険適用となった場合には、その適用部分については高額療養費制度の対象となる可能性があります。しかし、これは非常に限定的なケースであり、一般的なインプラント治療を検討されている方には該当しません。

インプラント治療の費用相場と他の治療法との比較

インプラント治療は、失った歯を補うための優れた選択肢の一つですが、その費用について不安を感じる方も少なくありません。ここでは、インプラント治療にかかる具体的な費用の相場感と、ブリッジや入れ歯といった他の治療選択肢と比較して、どのようなメリットやデメリットがあるのかを多角的に解説します。単に治療費が高いというだけでなく、その価格が何によって決まるのか、そして長期的な視点で見たときにどの治療法が最もコストパフォーマンスに優れているのかを詳しく掘り下げていきます。これらの情報を得ることで、ご自身にとって最適な治療法を選ぶための判断材料としてお役立てください。

インプラント治療にかかる費用の内訳と相場

インプラント治療の総費用は、複数の要素の合計によって決まります。主な費用の内訳としては、「検査・診断料」「インプラント埋入手術料」「上部構造(アバットメント+被せ物)料」の3つが挙げられます。まず、治療の初期段階で行われる「検査・診断料」には、CT撮影やレントゲン撮影、口腔内の診査などが含まれ、治療計画を立てるために不可欠な費用です。次に、「インプラント埋入手術料」は、顎の骨にインプラント本体を埋め込む外科手術にかかる費用で、これが治療費全体の大きな部分を占めます。最後に「上部構造料」は、インプラントの上に装着する人工の歯(被せ物)と、それとインプラント本体を連結するアバットメントの費用です。

これらを合計したインプラント1本あたりの全国的な費用相場は、おおよそ30万円から50万円が目安とされています。この金額には、通常、上記の全ての工程が含まれていることが多いです。ただし、患者様の顎の骨の状態によっては、インプラントを埋め込む前に骨を増やす「骨造成」などの追加手術が必要になる場合があります。その際は、別途費用が発生するため、治療計画の段階でしっかりと確認することが大切です。

インプラント・ブリッジ・入れ歯の費用と特徴

失われた歯を補う治療法には、インプラント以外にもブリッジや入れ歯といった選択肢があります。それぞれの治療法には特徴があり、費用だけでなく、審美性、機能性、周囲の歯への影響など、多角的に比較検討することが重要です。以下の比較表で、それぞれの治療法の主な特徴と費用感をまとめていますので、ご自身に合った治療法を選ぶ際の参考にしてください。

インプラントは初期費用が高額ですが、周囲の健康な歯に負担をかけず、天然の歯に近い噛み心地と見た目を再現できます。ブリッジは失った歯の両隣の歯を削って支えにするため、健康な歯に影響を与える可能性がありますが、比較的短期間で治療が完了します。入れ歯は保険適用であれば費用を抑えられますが、安定性や噛む力が劣る場合があります。

長期的な視点で考えるインプラントのコストパフォーマンス

インプラント治療は初期費用が高額であるため、費用面でのハードルを感じる方も少なくありません。しかし、長期的な視点でコストパフォーマンスを考えると、インプラントが優れた選択肢となる場合があります。ブリッジや入れ歯は、数年ごと、あるいは10年程度のサイクルで修理や作り直しが必要になることが一般的です。その都度、費用が発生するだけでなく、治療期間や通院の手間もかかります。例えば、20年間でブリッジを2回作り直した場合の総費用と、インプラントを1回治療した場合の総費用を比較すると、インプラントの方が結果的に費用を抑えられるケースも珍しくありません。

一方、インプラントは適切なセルフケアと定期的な歯科医院でのメンテナンスを行うことで、10年、20年以上と長期間にわたって機能し続ける可能性が高い治療法です。一度埋入すれば、その後の修理や作り直しの費用が抑えられるため、トータルコストで優位に立つことができます。さらに、インプラントは天然の歯に近い噛み心地を実現し、食事をストレスなく楽しめるようになるだけでなく、発音の改善や見た目の自然さによって、生活の質(QOL)を大きく向上させます。よく噛めることで全身の健康維持にも繋がるなど、費用以外の長期的なメリットも考慮すると、インプラントは初期投資に見合う価値がある治療法と言えるでしょう。

よくある質問|インプラントと保険適用について

インプラント治療の費用や保険適用に関して、多くの方が疑問に思われる点をQ&A形式で解説します。インプラント治療を検討する上で、ぜひ参考にしてください。

Q. 将来、インプラント治療が保険適用になる可能性はありますか?

一般的なインプラント治療が、近い将来に広く健康保険の適用対象となる可能性は低いと考えられます。日本の医療保険制度は、国民誰もが最低限の医療を受けられるよう「機能回復」を目的としており、インプラント治療は「より質の高い治療」や「審美性」を追求する側面が強いためです。また、インプラント治療は非常に高額であり、もし広く保険適用となれば、国の医療財政を大きく圧迫することになります。

しかし、再生医療などの技術革新が進み、インプラント治療がより安価で確実な治療法として確立された場合や、社会情勢の変化によっては、保険適用の範囲が将来的に議論される可能性はゼロではありません。現時点では、特定の難症例を除き、インプラント治療は自由診療であるという認識が適切です。

Q. 歯科医院によってインプラントの費用が違うのはなぜですか?

インプラント治療は自由診療のため、歯科医院によって費用が異なるのは珍しいことではありません。費用の差が生じる主な理由はいくつかあります。

使用するインプラントメーカー(ブランド)の違い

上部構造(被せ物)の材質(ジルコニア、セラミック、金属など)

歯科医師の技術力や経験値、専門性

CTスキャンなどの高度な診断設備や、手術室などの設備投資

治療後の保証制度の有無や内容

クリニックの立地やブランドイメージ

インプラントは精密な外科手術であり、歯科医師の知識と技術、設備の充実度が治療の成功に大きく影響します。そのため、費用だけで歯科医院を選ぶのではなく、これらの要素を総合的に考慮し、ご自身が信頼できる医院を選ぶことが大切です。

Q. 格安インプラントは安全ですか?

相場よりも著しく安価な「格安インプラント」には、いくつかのリスクが潜んでいる可能性があるため注意が必要です。インプラント治療は外科手術を伴い、安全性と長期的な安定性が最も重要です。安さの背景には、以下のような理由が考えられます。

安価で実績の少ないインプラントメーカーの採用

衛生管理や設備投資を軽視している可能性

経験の浅い歯科医師が担当している

精密な検査や診断を簡略化している

初期費用は安く見せかけて、後から追加費用を請求される

体内に埋め込むインプラントは、一度施術するとやり直しが困難な場合もあります。トラブルが起きた場合、かえって高額な再治療費がかかることもあります。価格の安さだけで安易に決めるのではなく、治療内容、使用材料、医師の経験、設備、保証制度などをしっかりと確認し、信頼できる歯科医院を選ぶようにしましょう。

まとめ:インプラント治療は専門家と相談し自分に合った方法を選ぼう

インプラント治療は、失った歯の機能回復や審美性の向上において非常に有効な手段です。しかし、その費用や保険適用の有無について、多くの疑問や不安をお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。

この記事では、インプラント治療が原則として健康保険の適用外である自由診療に分類されること、ただし極めて稀なケースでは保険が適用される例外があることをご説明しました。また、自由診療であっても、医療費控除や民間の医療保険、デンタルローンなどを活用することで費用負担を軽減できる複数の方法があることもご紹介しました。

インプラント治療は決して安価ではありませんが、ブリッジや入れ歯といった他の治療法と比較した場合、長期的な視点で見るとコストパフォーマンスに優れるケースも少なくありません。ご自身のライフスタイルや何を優先したいかによって、費用、機能、審美性のバランスは人それぞれ異なります。

最終的な治療法の選択にあたっては、信頼できる歯科医師と十分に相談し、ご自身の口内の状態、治療計画、費用、メリット・デメリットをしっかり理解した上で決定することが何よりも大切です。ぜひ専門家とともに、ご自身に最適な方法を見つけて、より快適な生活を取り戻してください。

 

少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

 

監修者

高橋 衛 | Takahashi mamoru
岩手医科大学歯学部卒業後、岩手医科大学歯学部口腔外科第二講座入局し、
医療法人 高橋衛歯科医院設立 理事長就任、MAMO IMPLANT CLINIC MALIOS 開設

 

【所属】
日本歯科医師会
岩手県歯科医師会
盛岡市歯科医師会
歯科医師臨床研修指導歯科医
岩手県保険医協会
日本口腔外科学会
日本口腔インプラント学会
EUROPEAN ASSOCIATION FOR OSSEOINTEGRATION
AMERICAN ACADEMY PERIODONTOLOGY
岩手医科大学歯学会
デンタルコンセプト21  会員
日本歯科東洋医学会
JIADS Club  会員
P.G.I Club 会員
スピード矯正研究会  会員
床矯正研究会 会員
近代口腔科学研究会 会員


【略歴】
岩手医科大学歯学部 卒業
岩手医科大学歯学部口腔外科第二講座 入局
「高橋衛歯科医院」 開業
「MAMO IMPLANT CLINIC MALIOS」 開業

 

岩手県盛岡市の歯医者・歯科
高橋衛歯科医院
住所:岩手県盛岡市北天昌寺町7−10
TEL:019-645-6969