「まだ乳歯だから」は間違い?虫歯放置が招く5つのリスクを解説

「まだ乳歯だから」は間違い?虫歯放置が招く5つのリスクを解説
盛岡市にある歯医者・歯科、高橋衛歯科医院です。

お子さんの歯に小さな黒い点を見つけて、「これって虫歯かな?でも、乳歯はいずれ抜けるから大丈夫なのでは?」と、心配な気持ちと同時に疑問を感じている親御さんは少なくないでしょう。乳歯の虫歯に対するこのような不安は、子どもの健康を考える上で当然の感情です。しかし、実は「乳歯だから大丈夫」という考え方は、将来のお子さんの歯や全身の健康に大きな影響を及ぼす可能性がある危険な誤解かもしれません。

乳歯の虫歯を放置することは、後から生えてくる永久歯の質や形に悪影響を与えたり、歯並びの乱れにつながったりするだけでなく、お子さん自身に痛みや精神的な負担を強いることにもなりかねません。この記事では、乳歯の虫歯を放置した場合の具体的なリスクから、お子さんに負担の少ない治療法、さらに今日から実践できる効果的な予防習慣まで、親御さんが知っておくべき大切な情報を網羅的に解説しています。この記事を読み終える頃には、乳歯のケアがいかに重要であるかを理解し、お子さんの健やかな成長のために最適な選択ができるようになるでしょう。

「いずれ抜けるから」は危険な誤解!乳歯の虫歯を放置してはいけない理由

お子さんの歯に小さな黒い点を見つけたとき、「どうせ乳歯はいずれ抜けて永久歯に生え変わるから、少しぐらい虫歯になっても大丈夫ではないか」と考える方は少なくありません。しかし、この「いずれ抜けるから」という考え方は、実は大変危険な誤解です。乳歯は、永久歯が生えるまでの仮の歯ではありません。お子さんの健やかな成長のために、非常に重要な役割を担っています。

乳歯の虫歯を放置すると、単にその歯が痛むだけでなく、将来生えてくる永久歯の健康や、お子さん全体の成長にまで深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。乳歯は構造上、虫歯になりやすく、一度虫歯になると進行が非常に速いという特徴も持っています。そのため、早期発見と適切な処置が何よりも大切なのです。

この章では、なぜ乳歯の虫歯を放置してはいけないのか、その根本的な理由について詳しくご説明します。乳歯が持つ大切な役割や、虫歯になりやすい特徴を理解することで、お子さんの歯の健康を守るための第一歩を踏み出しましょう。

乳歯の役割と虫歯になりやすい特徴

乳歯は、単に永久歯が生えるまでのつなぎの歯だと考えられがちですが、実は多くの重要な役割を担っています。まず、食べ物をしっかり噛み砕くことで消化を助け、栄養を効率的に摂取するために不可欠です。また、正しい発音を助け、言葉の発達にも影響を与えます。さらに、顎の骨の健全な発育を促し、顔全体のバランス形成にも関わっています。

しかし、乳歯は永久歯と比較して、いくつかの構造的な特徴から虫歯になりやすいという性質があります。乳歯のエナメル質は永久歯よりも薄く、柔らかいため、酸に対する抵抗力が低いのです。また、象牙質の厚みも薄く、歯の神経(歯髄)までの距離が近いため、一度虫歯になると進行が非常に速い傾向にあります。

これらの特徴から、乳歯は「虫歯になりやすく、あっという間に進行してしまう」ということを認識しておく必要があります。お子さんの乳歯に異変を感じたら、放置せずに早めに歯科医院を受診することが、お子さんの将来の口腔環境を守る上で非常に大切になります。

永久歯が生えるための大切なガイド役

乳歯の最も重要な役割の一つに、「永久歯の正しい萌出をガイドする」という機能があります。乳歯は、それぞれが決められた時期まで正しい位置に存在することで、その下で成長している永久歯が適切なスペースと方向を見つけて生えてくるための道筋を示しています。ちょうど、新しい道を建設する際に、古い道がそのルートを案内するようなイメージです。

もし、虫歯が原因で乳歯を本来の時期より早く失ってしまった場合、そのスペースが空いてしまいます。すると、両隣の乳歯がその空いたスペースに傾き込んできて、最終的には永久歯が生えるべき場所を塞いでしまうことがあります。その結果、永久歯が正しい位置に生えることができず、曲がって生えてきたり、全く生える場所がなくなってしまったりするリスクが高まります。

このような事態は、将来的な歯並びの乱れに直結し、見た目の問題だけでなく、噛み合わせの不具合や歯磨きのしにくさによる虫歯・歯周病のリスク増加にもつながります。結局、高額な歯科矯正治療が必要になるケースも少なくありません。乳歯を大切にすることは、お子さんの将来の歯並びと口腔全体の健康を守るための、非常に重要な第一歩なのです。

乳歯の虫歯放置が招く5つのリスク

これまで乳歯の重要な役割や虫歯になりやすい特徴についてお伝えしてきましたが、もし乳歯の虫歯を放置してしまった場合、お子さまの将来の健康にどのような影響があるのでしょうか。多くの親御さんが抱える「放置したらどうなるのだろう」という最大の不安に対し、ここでは、乳歯の虫歯が引き起こす深刻な問題を5つの具体的なリスクとして詳しく解説していきます。

乳歯の虫歯放置は、単に目の前の歯の問題にとどまらず、後から生える永久歯の質や形、歯並びの悪化、顎の発育への影響、口内環境の悪化、そして何よりもお子さま自身に痛みや精神的な負担を与えることにつながります。これらのリスクを正しく理解し、早期の対応の重要性をご認識いただくことが、お子さまの健やかな成長を守る第一歩となります。

リスク1:後から生える永久歯の質や形に悪影響が出る

乳歯の虫歯を放置することによる最初の大きなリスクは、その下で成長している永久歯に悪影響が及ぶことです。乳歯の虫歯が神経にまで達し、さらに進行すると、歯の根の先端に膿が溜まる「根尖病巣(こんせんびょうそう)」という炎症が起きることがあります。

この根尖病巣から出る毒素や炎症が、ちょうどその下で成長を待っている永久歯の芽(歯胚)に影響を与えてしまいます。その結果、永久歯が生えてきたときに、エナメル質が弱くてもろくなる「エナメル質形成不全」を起こしたり、歯が茶色く変色したり、形がゆがんでしまったりする可能性があります。このように、一度生えてきた永久歯の質や形が悪くなると、将来にわたって虫歯になりやすくなるなど、様々な問題を引き起こすことになります。

リスク2:永久歯の歯並びが悪くなる

乳歯の虫歯放置は、将来の永久歯の歯並びに深刻な悪影響を及ぼすリスクがあります。乳歯は、永久歯が正しい位置に生えてくるための大切な「ガイド役」です。虫歯が進行して乳歯が大きく崩れてしまったり、痛みがひどくて本来の時期よりも早く抜歯することになったりすると、そのスペースに両隣の歯が倒れ込んできてしまい、永久歯が生えてくるための十分な場所が失われてしまいます。

すると、永久歯は本来生えるべき場所を失い、重なって生えてきたり、全く違う場所から生えてきてしまったりする「叢生(そうせい)」や「異所萌出(いしょほうしゅつ)」といった不正咬合を引き起こす可能性が高まります。歯並びの乱れは見た目だけの問題ではなく、磨き残しが増えて虫歯や歯周病になりやすくなったり、噛み合わせが悪くなったりと、様々な口腔内のトラブルにつながります。将来的に、このような歯並びの治療には高額な矯正治療が必要になることも多く、お子さまに時間的・経済的な負担をかけてしまうことにもなりかねません。

リスク3:顎の発育や全身の健康に影響する

乳歯の虫歯を放置することは、口腔内にとどまらず、お子さまの顎の発育や全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。虫歯の痛みがあるお子さまは、無意識のうちに痛い方の歯を使わずに、痛くない側ばかりで噛むようになります。このような「偏咀嚼(へんそしゃく)」が長く続くと、顎の骨や顔の筋肉がバランス良く発達しなくなり、顔のゆがみや顎関節への負担につながることがあります。

また、虫歯でしっかり食べ物を噛めないと、よく噛まずに丸呑みする癖がつきやすくなります。これは消化器官に余計な負担をかけるだけでなく、様々な食材を敬遠して「好き嫌い」が増え、結果として栄養バランスが偏ってしまうことにもつながります。このように、乳歯の虫歯は、お子さまの健やかな成長と全身の健康全体にまで関わる、看過できない問題なのです。

リスク4:口内環境が悪化し、永久歯も虫歯になりやすくなる

乳歯に虫歯があるということは、お口の中に虫歯菌が大量に繁殖している状態です。まるで虫歯菌が住み着いている「巣窟」のようになってしまいます。このような不健康な口内環境の中で、新しく永久歯が生えてきたらどうなるでしょうか。

永久歯は生えたばかりの時期、まだ歯の質が未熟で非常に弱い状態です。そこに大量の虫歯菌が存在する環境では、生えてきたそばから虫歯菌に攻撃されてしまい、虫歯になってしまうリスクが極めて高くなります。乳歯の虫歯を放置することは、口内全体の虫歯リスクを高める悪循環を生み出し、せっかく生えてきた永久歯まで虫歯にしてしまう可能性を大いに秘めているのです。

リスク5:子どもに痛みや精神的な負担を与える

最も避けたいリスクは、お子さま自身が感じる身体的、そして精神的な苦痛です。乳歯の虫歯を放置し、進行させてしまうと、虫歯が歯の神経まで達してしまい、激しい痛みを伴うようになります。食事の際に冷たいものがしみたり、何もしなくてもズキズキと痛んだり、ひどい場合には夜も眠れないほどの激痛に襲われることもあります。

このような痛みは、お子さまの生活の質を著しく低下させてしまいます。さらに、虫歯が重症化してから歯科医院を受診すると、治療自体も複雑になり、治療の回数も増えてしまいます。麻酔を使ったり、削ったりする治療は、お子さまにとって大きな恐怖となり、「歯医者さんは痛くて怖い場所」という強いトラウマを植え付けてしまうリスクがあります。早期に虫歯を発見し、痛みがないうちに治療を済ませておくことは、結果的にお子さまの心を守ることにもつながるのです。

乳歯の虫歯、どうやって治療する?進行度別の治療法

乳歯の虫歯を放置することのリスクについてご理解いただけたかと思いますが、もし虫歯が見つかってしまった場合、どのような治療が行われるのか不安に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、虫歯の治療方法は、その進行度合いによって大きく異なります。

歯科医院では、虫歯の進行度を「C0」から「C4」までの5段階で分類し、それぞれの段階に応じた治療法を提案します。初期段階のC0であれば、歯を削らずに済む可能性もあり、お子さまへの負担も少なく治療を進めることができます。これからの章では、それぞれの進行度に応じた具体的な治療法を詳しく解説しますので、お子さまの歯に虫歯のサインを見つけた場合は、痛い治療になるのではと心配せず、まずは歯科医院を受診する一歩を踏み出してみてください。

C0(初期虫歯):削らずに再石灰化を促す治療

最も初期の虫歯である「C0(シーオー)」は、まだ歯の表面に小さな白濁が見られる段階で、「ホワイトスポット」とも呼ばれます。この段階では、まだ歯に穴は開いていません。C0の段階で虫歯が発見された場合、一番のポイントは歯を削る必要がないという点です。

この段階での治療は、主に歯の自己修復能力である「再石灰化」を促進させることに重点が置かれます。具体的には、歯科医院で高濃度のフッ素を塗布したり、適切なブラッシング方法の指導を受けたりします。また、ご家庭でのフッ素入り歯磨き粉の使用や、間食の回数を減らすといった食生活の改善も非常に効果的です。お子さまにとって身体的な負担が少なく、親御さまにとっても治療に対する心理的なハードルが低いこの段階で虫歯を発見できるのは、定期検診の大きなメリットと言えるでしょう。

C1〜C2(エナメル質・象牙質の虫歯):詰め物による治療

虫歯がC0の段階を過ぎ、歯の表面のエナメル質に小さな穴が開き始めた状態がC1、さらにその奥の象牙質まで進行した状態がC2と診断されます。これらの段階では、残念ながら虫歯になった部分を削り取り、除去する必要があります。

削った部分を埋める材料としては、保険適用で白い詰め物ができる「コンポジットレジン」が一般的に使われます。この治療は、多くの場合、麻酔が必要ないか、ごく少量の麻酔で済むことが多く、ほとんどのケースで1回の通院で治療が完了します。お子さまへの身体的負担が比較的小さく、親御さまの通院の負担も抑えられるため、虫歯がC1やC2の段階で早期に治療することが非常に大切です。

C3〜C4(神経に達した虫歯):神経の治療や抜歯

虫歯がさらに進行し、歯の神経にまで達してしまった状態が「C3」です。この段階になると、虫歯の痛みが強く出るようになり、何もしていなくてもズキズキと痛んだり、夜間に痛みが強くなったりすることもあります。C3の治療では、虫歯菌に感染してしまった歯の神経を取り除く「根管治療」が必要となります。根管治療は、歯の内部の複雑な構造を丁寧に清掃・消毒するため、複数回の通院が必要になることが多く、お子さまへの負担も大きくなります。

そして、虫歯が最終段階まで進行し、歯のほとんどが溶けて根だけが残ってしまった状態が「C4」です。この段階になると、歯を残すことが非常に難しくなり、残念ながら抜歯せざるを得ないケースが多くなります。乳歯を早期に失うことは、将来の永久歯の生え方や歯並びに悪影響を及ぼすだけでなく、お子さま自身にも大きな身体的・精神的負担を与えてしまいます。このような重度の治療を避けるためにも、虫歯の早期発見と早期治療がいかに重要であるかを改めてご理解いただければ幸いです。

子どもが歯医者を嫌がらないための工夫

乳歯の虫歯リスクや治療の必要性は理解できても、「実際に子どもを歯医者に連れて行くのはハードルが高い」と感じる親御さんは少なくありません。「歯医者嫌い」は、多くのお子さんとその親御さんが直面する共通の悩みです。

しかし、ご安心ください。歯科医院の選び方から、ご家庭でできる事前の準備まで、親御さんが主体的に取り組める工夫はたくさんあります。これからご紹介する方法を実践することで、お子さんが歯科医院に対する恐怖心を和らげ、スムーズな受診につながるでしょう。お子さんの歯の健康を守るために、ぜひ実践してみてください。

小児歯科専門の歯医者を選ぶ

お子さんが歯医者を嫌がらないための工夫として、まず大切なのは「小児歯科」を専門にしている歯科医院を選ぶことです。小児歯科を標榜している医院は、単に子どもの歯を治療するだけでなく、成長段階にあるお子さんの心理や行動特性を深く理解している専門家が在籍しています。

具体的には、キッズスペースやおもちゃ、診療台の天井にテレビが設置されているなど、お子さんがリラックスできるような環境が整えられています。また、治療に入る前に治療器具に触れさせたり、治療内容を分かりやすく説明したりする「Tell-Show-Do法」といった、お子さんの不安を和らげる専門的なアプローチを取り入れていることも多くあります。何よりも、スタッフがお子さんの扱いに慣れているため、初めての歯科治療でも安心して任せられるでしょう。お子さんが歯科医院を「怖い場所」ではなく「楽しい場所」と感じられるような環境選びが、長期的な歯の健康につながります。

家庭での準備(絵本や歯医者さんごっこ)

歯科医院に行く前に、ご家庭でできる準備をしておくことも、お子さんの不安を和らげる上で非常に効果的です。お子さんは、初めての場所や未知の体験に対して強い不安を感じやすいものです。

そこでおすすめなのが、歯医者をテーマにした絵本を一緒に読んだり、動画を見たりすることです。事前に「歯医者さんは何をする場所なのか」を視覚的にイメージさせることで、当日の見通しが立ち、不安を軽減できます。また、「歯医者さんごっこ」も有効な方法です。親御さんが「歯医者さん」になり、お子さんが「患者さん」になって、口を開けて歯ブラシで歯を数えるなどの遊びを通して、診察のシミュレーションをしてみましょう。このような事前準備で、歯科医院に対する抵抗感を減らし、スムーズな受診につなげることが期待できます。

治療を無理強いせず、慣れることから始める

いざ歯科医院を受診する際に、親御さんが心に留めておきたい最も重要なことは、「治療を無理強いしない」という姿勢です。特に、初めての受診や、すでに歯医者に対して怖がっているお子さんに対しては、この原則が欠かせません。

多くの小児歯科では、緊急性が高い場合を除いて、初診でいきなり治療に入ることはありません。まずは、診療台に座ってみる練習、治療で使う器具に触らせてもらう、お口を開ける練習といった「トレーニング」から始めてくれます。親御さんが「今日中に治療を終わらせなければ」と焦る必要はなく、お子さんのペースに合わせて段階的に慣らしていく方針の歯科医院を選ぶことが大切です。

このアプローチは、一時的な治療だけでなく、将来にわたってお子さんが歯科医院と良好な関係を築くための基盤となります。無理強いせず、少しずつステップを踏むことで、お子さんの歯科治療に対するトラウマを避け、歯の健康を長く維持できる習慣を身につけさせてあげましょう。

今日からできる!乳歯の虫歯を防ぐ4つの予防習慣

これまで乳歯の虫歯を放置することの危険性や、進行度に応じた治療法について解説してきました。しかし、お子さまにとって一番良いのは、そもそも虫歯にならないことです。辛い治療を経験させず、親御さまの負担も最小限に抑えるためには、日々の予防習慣が何よりも大切になります。

このセクションでは、専門的な知識がなくてもご家庭ですぐに実践できる、効果的な4つの予防法をご紹介します。どの方法もシンプルですが、確かな効果が期待できるものばかりです。今日からでも無理なく始められる予防習慣を身につけて、お子さまの歯を虫歯から守りましょう。

毎日の仕上げ磨きを徹底する

乳歯の虫歯予防の基本中の基本は、毎日の丁寧な歯磨き、特に親御さまによる「仕上げ磨き」の徹底です。お子さまが自分で歯磨きをしていても、その多くは磨き残しがあります。特に、小学校中学年頃までは、お子さま自身で歯の隅々まで磨ききるのは難しいため、親御さまによる仕上げ磨きが不可欠であることをぜひ覚えておいてください。

仕上げ磨きで特に意識したいのは、虫歯になりやすい「奥歯の溝」「歯と歯の間」「歯と歯茎の境目」です。これらの部分は食べカスが残りやすく、歯ブラシの毛先が届きにくい傾向にあります。奥歯は小さめの歯ブラシで一本ずつ丁寧に、歯と歯の間はデンタルフロスも活用すると良いでしょう。また、お子さまが仕上げ磨きを嫌がる場合は、寝かせ磨きの姿勢を試したり、歌を歌いながら、あるいは数を数えながら磨くなどの工夫をしてみてください。磨き終わった後には、「ピカピカになったね!」「ありがとう、上手にできたね」とたくさん褒めてあげることが、お子さまが歯磨きを好きになるきっかけにもつながります。

食生活を見直す(だらだら食べを避ける)

虫歯予防は歯磨きだけでなく、毎日の食生活にも深く関わっています。特に注意したいのが「だらだら食べ」です。これが虫歯の最大の原因の一つとなることをご存じでしょうか。食べ物や飲み物を口にするたびに、口の中は酸性に傾き、歯の表面からカルシウムなどが溶け出す「脱灰(だっかい)」という現象が起こります。

通常、唾液の働きによって口の中は中性に戻り、溶け出した成分が歯に戻る「再石灰化」が行われるため、歯は守られています。しかし、だらだらと食べ続けると、口の中が酸性の時間が長くなり、再石灰化が追いつかずに歯が溶けて虫歯が進行してしまいます。お子さまのおやつは時間を決めて与え、糖分を多く含むジュースやスポーツドリンクを水やお茶代わりに与えることは避けましょう。喉が渇いた時には水やお茶を選ぶように習慣づけることが大切です。

フッ素を効果的に活用する

フッ素は虫歯予防に非常に効果的な成分として広く知られています。フッ素には主に3つの大切な働きがあります。一つ目は「歯の再石灰化を促進する」こと。二つ目は「歯質を強化して酸に溶けにくくする」こと。そして三つ目は「虫歯菌が酸を作るのを抑制する」ことです。これらの働きにより、フッ素は虫歯の発生や進行を防ぐ心強い味方になってくれます。

ご家庭でフッ素を活用するには、フッ素入りの歯磨き粉を使用するのが一般的です。お子さまの年齢に合わせたフッ素濃度の歯磨き粉を選び、適切な量(例えば、3〜5歳ならグリーンピース程度の量)を守って使いましょう。フッ素の効果を最大限に引き出すためには、歯磨き後のうがいは少量の水で1回だけにとどめるのがポイントです。また、歯科医院で定期的に受ける高濃度フッ素塗布は、ご家庭でのケアよりもさらに高い予防効果が期待できますので、ぜひ併用を検討してみてください。

歯科医院での定期検診を受ける

ご家庭でのセルフケアだけでは、虫歯予防には限界があります。専門家による定期的なチェックが不可欠であることをご理解ください。「痛くなってから行く場所」ではなく、「虫歯にならないために通う場所」として歯科医院を活用することが、お子さまの歯の健康を守る上で最も重要な予防習慣と言えます。

定期検診には多くのメリットがあります。例えば、まだ治療の必要がない初期の虫歯(C0)の段階で発見し、歯を削らずに経過観察やフッ素塗布で対応できること。ご家庭では落としきれない歯垢や歯石を専門的にクリーニングしてもらえること(PMTC)。高濃度のフッ素を塗布してもらい、効果的な虫歯予防ができること。そして、お子さま一人ひとりの歯並びや磨き癖に合わせたブラッシング指導を受けられることなどです。一般的には3〜6ヶ月に1回程度の受診が推奨されています。定期検診を習慣化することで、お子さまの歯の健康を生涯にわたって守る土台を築くことができるでしょう。

まとめ:乳歯のケアは子どもの未来への大切な投資

乳歯の虫歯は「いずれ抜けるから」といって放置してはいけない、このことが本記事を通して強くお伝えしたいメッセージです。これまで見てきたように、乳歯は永久歯が生えそろうまでの単なる「つなぎ」ではなく、その後の歯の健康、美しい歯並び、顎の健全な発育、そしてお子さまの全身の健康にまで深く関わる大切な存在です。

乳歯の適切なケアは、目先の虫歯を防ぐだけでなく、お子さまの未来の健康と成長に対する「大切な投資」といえます。乳歯の虫歯を早期に発見し治療すること、そして日々の丁寧な予防ケアを継続することが、将来お子さまが健康な永久歯で快適に食事ができ、自信を持って笑えることにつながるのです。今日からできる予防習慣を実践し、必要であれば歯科医院の力を借りて、大切なお子さまの歯と健康を守っていきましょう。

 

少しでも参考になれば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございます。

 

監修者

高橋 衛 | Takahashi mamoru
岩手医科大学歯学部卒業後、岩手医科大学歯学部口腔外科第二講座入局し、
医療法人 高橋衛歯科医院設立 理事長就任、MAMO IMPLANT CLINIC MALIOS 開設

 

【所属】
日本歯科医師会
岩手県歯科医師会
盛岡市歯科医師会
歯科医師臨床研修指導歯科医
岩手県保険医協会
日本口腔外科学会
日本口腔インプラント学会
EUROPEAN ASSOCIATION FOR OSSEOINTEGRATION
AMERICAN ACADEMY PERIODONTOLOGY
岩手医科大学歯学会
デンタルコンセプト21  会員
日本歯科東洋医学会
JIADS Club  会員
P.G.I Club 会員
スピード矯正研究会  会員
床矯正研究会 会員
近代口腔科学研究会 会員


【略歴】
岩手医科大学歯学部 卒業
岩手医科大学歯学部口腔外科第二講座 入局
「高橋衛歯科医院」 開業
「MAMO IMPLANT CLINIC MALIOS」 開業

 

岩手県盛岡市の歯医者・歯科
高橋衛歯科医院
住所:岩手県盛岡市北天昌寺町7−10
TEL:019-645-6969